米田悠一郎
【動画】「長崎原爆の日」被爆者代表・岡信子さん 語られることがなかった76年=米田悠一郎、榎本瑞希撮影
今年8月9日の長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典で、被爆者代表として「平和への誓い」を読み上げた長崎市の岡信子(おか・のぶこ)さんが4日午前、肺がんのため、長崎市の病院で死去した。93歳だった。葬儀は関係者で営まれた。
岡さんは16歳の時、爆心地から1・8キロの長崎市の自宅で被爆。左腕や左足にガラスが突き刺さるけがを負った。数日後、日本赤十字社の看護学生として、市内の臨時救護所に動員され、負傷者の手当てに奔走。傷口にウジがわき、次々亡くなっていく凄惨(せいさん)な現場で2カ月を過ごした。
被爆者に向けられてきた偏見などから、被爆体験を長年、心にしまってきた。2年前、母校の女学校を前身とする大学で講演してから、少しずつ人前で語るようになり、今年、式典の被爆者代表に応募。初めて臨んだ式典で「命ある限り語り継ぎ、核兵器廃絶と平和を訴え続けていく」と、誓いの言葉を述べた。
式典後にがんが見つかり入院していた。市によると式典で「誓い」を述べた被爆者代表の中では、岡さんが最高齢で、式典の年に亡くなったのは初とみられるという。田上富久・長崎市長は「大変残念。岡さんの思いを引き継ぎ、後に続く方が出てこられるのを願う」とのコメントを出した。(米田悠一郎)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル